このたび聖女様の契約母となりましたが、堅物毒舌宰相閣下の溺愛はお断りいたします! と思っていたはずなのに
「陛下。もう少し、順を追って説明したほうがよろしいかと。彼女は『家庭教師』の仕事を見つけてここに来たわけですから」
「あ~だったらクライブ。その役を頼んでもいいか? 少し、休ませてくれ。終わったら、起こせ」
そう言ったエーヴァルトは腕を組んで長椅子に大きく寄りかかった。金色の瞳はしっかりと閉じられている。
「あの、無防備ではありませんか? 大丈夫ですか?」
イリヤがそう確認するのも無理はない。
「心配するな。何かを察すれば目を覚ますし、それより先にオレが動く。それとも、お前が陛下の寝込みを襲うとでも?」
めっそうもございませんと、イリヤは手と顔を同時に振った。
「……ふっ。本当に、噂とは異なる女性だな。先ほどの啖呵は、見事だった」
「え?」
「噂に踊らされる人間は、噂によって身を滅ぼす。オレも肝に銘じておこう」
あのときは無我夢中だったのだ。それを改めて口に出されると、羞恥に襲われる。目の前の白磁のカップに手を伸ばし、喉を潤す。
「では早速、仕事の内容について説明しよう」
イリヤがカップを戻すのを見送ってから、クライブは口を開いた。
「まず、お前に求めるのは一人の女性を立派な淑女に育てあげてもらいたいということだ」
だから『家庭教師』を募集していたのだろう。
「ですが、それでしたら。わざわざあのようなところで、求人を出さなくてもよろしいのでは?」
「人の話は最後まで聞け。今回の件は、いろいろ特殊なのだよ。……順を追って話そう」
その言葉の通り、クライブの話は一年ほど前の出来事から始まった。
「あ~だったらクライブ。その役を頼んでもいいか? 少し、休ませてくれ。終わったら、起こせ」
そう言ったエーヴァルトは腕を組んで長椅子に大きく寄りかかった。金色の瞳はしっかりと閉じられている。
「あの、無防備ではありませんか? 大丈夫ですか?」
イリヤがそう確認するのも無理はない。
「心配するな。何かを察すれば目を覚ますし、それより先にオレが動く。それとも、お前が陛下の寝込みを襲うとでも?」
めっそうもございませんと、イリヤは手と顔を同時に振った。
「……ふっ。本当に、噂とは異なる女性だな。先ほどの啖呵は、見事だった」
「え?」
「噂に踊らされる人間は、噂によって身を滅ぼす。オレも肝に銘じておこう」
あのときは無我夢中だったのだ。それを改めて口に出されると、羞恥に襲われる。目の前の白磁のカップに手を伸ばし、喉を潤す。
「では早速、仕事の内容について説明しよう」
イリヤがカップを戻すのを見送ってから、クライブは口を開いた。
「まず、お前に求めるのは一人の女性を立派な淑女に育てあげてもらいたいということだ」
だから『家庭教師』を募集していたのだろう。
「ですが、それでしたら。わざわざあのようなところで、求人を出さなくてもよろしいのでは?」
「人の話は最後まで聞け。今回の件は、いろいろ特殊なのだよ。……順を追って話そう」
その言葉の通り、クライブの話は一年ほど前の出来事から始まった。