このたび聖女様の契約母となりましたが、堅物毒舌宰相閣下の溺愛はお断りいたします! と思っていたはずなのに
仕事はできるのに、普段の生活がどこかおかしいように感じる。
それにあの年で、チャールズに説教されていたのは、ちょっとかわいらしかった。
サマンサの視線に気がついた。彼女は優しい笑みを浮かべて、イリヤを見ている。頬がゆるんだ瞬間を見られたかもしれない。お茶を飲んでごまかす。
とにかく、一日、職業紹介所で求人を見ていたころとは大違いなのだ。
マリアンヌはいつの間にかナナカの腕の中で眠っていた。鼻がつまっているのか、すぴーすぴーと鼻を鳴らしている。
クライブには、マリアンヌの世話は一人でできると啖呵を切ってはみたものの、実際、マリアンヌの世話にはいろんな人から助けてもらっている。幼い妹が三人もいて、彼女たちの世話をしていたはずなのに、マリアンヌのことはそう容易くいかなかった。
変に緊張するし、しっかり育てなければという思いがある。妹のときは、近くに母親がいてくれた心強さもあったのかもしれない。
いや、違う。これが親の気持ちなのだ。子に責任を持つ。
マリアンヌの母親となったのだから、マリアンヌの成長に責任を持つ。
それが、妹たちの世話をしていたときとの大きな違いだ。かわいいかわいいいだけでは、マリアンヌの面倒をみるなどできない。
「……奥様」
お菓子もすっかりと食べてしまったころ、チャールズが部屋へとやってきて、にこやかに声をかけてきた。
「このあとのご予定なのですが……」
まだあるの、と思ったものの、それを口にはしない。ぐっと堪える。
「勉強の時間となっております」
「勉強……」
「はい、旦那様からの伝言でございます。『とにかく、オレに恥をかかせるな』。以上でございます」
その伝言はいらなかった。そしてこのタイミングで言ってくるチャールズは、間違いなく空気を読むのが上手である。彼の目が笑っていた。
それにあの年で、チャールズに説教されていたのは、ちょっとかわいらしかった。
サマンサの視線に気がついた。彼女は優しい笑みを浮かべて、イリヤを見ている。頬がゆるんだ瞬間を見られたかもしれない。お茶を飲んでごまかす。
とにかく、一日、職業紹介所で求人を見ていたころとは大違いなのだ。
マリアンヌはいつの間にかナナカの腕の中で眠っていた。鼻がつまっているのか、すぴーすぴーと鼻を鳴らしている。
クライブには、マリアンヌの世話は一人でできると啖呵を切ってはみたものの、実際、マリアンヌの世話にはいろんな人から助けてもらっている。幼い妹が三人もいて、彼女たちの世話をしていたはずなのに、マリアンヌのことはそう容易くいかなかった。
変に緊張するし、しっかり育てなければという思いがある。妹のときは、近くに母親がいてくれた心強さもあったのかもしれない。
いや、違う。これが親の気持ちなのだ。子に責任を持つ。
マリアンヌの母親となったのだから、マリアンヌの成長に責任を持つ。
それが、妹たちの世話をしていたときとの大きな違いだ。かわいいかわいいいだけでは、マリアンヌの面倒をみるなどできない。
「……奥様」
お菓子もすっかりと食べてしまったころ、チャールズが部屋へとやってきて、にこやかに声をかけてきた。
「このあとのご予定なのですが……」
まだあるの、と思ったものの、それを口にはしない。ぐっと堪える。
「勉強の時間となっております」
「勉強……」
「はい、旦那様からの伝言でございます。『とにかく、オレに恥をかかせるな』。以上でございます」
その伝言はいらなかった。そしてこのタイミングで言ってくるチャールズは、間違いなく空気を読むのが上手である。彼の目が笑っていた。