このたび聖女様の契約母となりましたが、堅物毒舌宰相閣下の溺愛はお断りいたします! と思っていたはずなのに
「クライブ様。今、陛下にもお伝えしたのですが、今日からマリーは離乳食を始めます」
「昨日もそんなことを言っていたな。ジムには今朝、伝えておいた」
 ジムとは料理長の名である。イリヤがマリアンヌの離乳食について相談しにいったところ、クライブからも話があったとのことで、彼はすでにメニューを考えていたようだ。
「では、食事にしよう。陛下のお口に合うかどうか、わかりませんが」
 クライブの眼鏡が、シャンデリアの光を反射させてきらりと光った。
「それとも、マリアンヌと同じ離乳食のほうがよろしいでしょうか?」
「クライブ、冷たい」
「オレが帰ろうとしたところを勝手に着いてきた人は誰ですか? お前だろ? マリアンヌと同じ席で食事ができるだけでも、ありがたく思え」
 クライブは相手が国王であろうが動じない。だが、今までのエーヴァルトの様子を見ていると、クライブのこの態度も納得できるような気もしないでもない。
「あ~あ~」
 テーブルの上に料理が並べられると、マリアンヌは楽しそうに手足をばたつかせる。
「マリー。今日はご飯を食べてみましょうね」
 初めての離乳食は、オートミールを水で煮て裏ごししたもの。イリヤの妹たちもこれを食べていたし、ジムもこれがいいだろうと言っていた。
 エーヴァルトは料理に手をつけず、じっくりとマリアンヌを見ている。
「マリー、あ~ん」
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