このたび聖女様の契約母となりましたが、堅物毒舌宰相閣下の溺愛はお断りいたします! と思っていたはずなのに
「一か月に一回なら、許す」
そうやってすぐに妥協案を提示するのは、飴と鞭の使い分けなのだろうか。
「駄目だ、一か月に一回だなんて。会えなさすぎて、私が泣く」
「勝手に泣いていろ」
「それに、この時期の赤ん坊は成長が早いんだ。一か月前はたっちすらできなかったのに、もう走り回っているということもあるかもしれないだろ?」
「いくらなんでも、それはないわ! せめて歩き回っているだ」
「ほら、一か月の成長を認めたじゃないか。せめて五日に一回」
「多すぎる!」
イリヤは黙ってエーヴァルトとクライブのやりとりを聞いていた。その結果、十日に一回、マリアンヌを連れてエーヴァルトの執務室を訪れることが決まっていた。
これが互いに妥協した結果らしいのだが、イリヤの意見は何一つ聞かれていない。
そんな約束をとりつけたエーヴァルトは、ほくほくとした様子で帰って行った。残されたのは、げんなりとしているクライブである。断ることのできない、権力の動いた国王命令なのだ。
そんなやりとりがあってから五日後。
イリヤはクライブと共にマーベル子爵邸を訪れていた。マーベル子爵邸は、ファクト公爵邸に比べたら小さな屋敷である。白いスタッコ仕上げの外壁、石積み調のラインが入っている、この辺りでは多く見られる様式である。
玄関ホールでイリヤの隣にいるクライブを目にして、身体を震わせたのはマーベル子爵である。
そうやってすぐに妥協案を提示するのは、飴と鞭の使い分けなのだろうか。
「駄目だ、一か月に一回だなんて。会えなさすぎて、私が泣く」
「勝手に泣いていろ」
「それに、この時期の赤ん坊は成長が早いんだ。一か月前はたっちすらできなかったのに、もう走り回っているということもあるかもしれないだろ?」
「いくらなんでも、それはないわ! せめて歩き回っているだ」
「ほら、一か月の成長を認めたじゃないか。せめて五日に一回」
「多すぎる!」
イリヤは黙ってエーヴァルトとクライブのやりとりを聞いていた。その結果、十日に一回、マリアンヌを連れてエーヴァルトの執務室を訪れることが決まっていた。
これが互いに妥協した結果らしいのだが、イリヤの意見は何一つ聞かれていない。
そんな約束をとりつけたエーヴァルトは、ほくほくとした様子で帰って行った。残されたのは、げんなりとしているクライブである。断ることのできない、権力の動いた国王命令なのだ。
そんなやりとりがあってから五日後。
イリヤはクライブと共にマーベル子爵邸を訪れていた。マーベル子爵邸は、ファクト公爵邸に比べたら小さな屋敷である。白いスタッコ仕上げの外壁、石積み調のラインが入っている、この辺りでは多く見られる様式である。
玄関ホールでイリヤの隣にいるクライブを目にして、身体を震わせたのはマーベル子爵である。