このたび聖女様の契約母となりましたが、堅物毒舌宰相閣下の溺愛はお断りいたします! と思っていたはずなのに
「エーヴァルトって昔からあんな感じなの。誰かが見張ってないと勉強もしなくて。それで私やクライブが一緒に勉強する羽目になったのよ。ほんと、いい迷惑」
トリシャはフォークにケーキをひとかけらのせると、それを上品に口元にまで運ぶ。いい迷惑と言っているトリシャではあるが、心ではそうは思っていないのも伝わってくる。
「だけど、私ね。クライブのことをずっと女の子だと思っていたの」
「え?」
「エーヴァルトとクライブはもっと前から知り合いだったらしいけれど、私が二人と会ったのは六歳くらいのときだったかしら……」
かれこれ二十年近くの付き合いになるようだ。
「本当にクライブったら、かわいらしかったのよ。でも、今思えば、髪も短かったしね。それでも彼のことを女の子だと思って勝手にライバル視していたのよね」
ライバル視というくらいなのだから、何かを競い合おうとしたのだろうか。
「クライブに会うたびに、絶対にエーヴァルトは渡さない。エーヴァルトと結婚するのは私、とか言っていて」
他の人から見たら、クライブとトリシャがエーヴァルトを取り合っている形に見えた。
「エーヴァルトって、変なところもあるけれども、やるときはきちんとやるし、幼い頃から私にとっては特別な存在だったの。まぁ、王子というのもあって最初は憧れていたんだけど、それでもやっぱり近くにいればいいところに目がいって、惹かれていくのよね」
憧れが好きに変わった。そういうことにちがいない。
「だから余計にクライブが邪魔だったというか、まぁ、そんな感じよね」
なんとなくその状況が予想できて、イリヤは苦笑する。
トリシャはフォークにケーキをひとかけらのせると、それを上品に口元にまで運ぶ。いい迷惑と言っているトリシャではあるが、心ではそうは思っていないのも伝わってくる。
「だけど、私ね。クライブのことをずっと女の子だと思っていたの」
「え?」
「エーヴァルトとクライブはもっと前から知り合いだったらしいけれど、私が二人と会ったのは六歳くらいのときだったかしら……」
かれこれ二十年近くの付き合いになるようだ。
「本当にクライブったら、かわいらしかったのよ。でも、今思えば、髪も短かったしね。それでも彼のことを女の子だと思って勝手にライバル視していたのよね」
ライバル視というくらいなのだから、何かを競い合おうとしたのだろうか。
「クライブに会うたびに、絶対にエーヴァルトは渡さない。エーヴァルトと結婚するのは私、とか言っていて」
他の人から見たら、クライブとトリシャがエーヴァルトを取り合っている形に見えた。
「エーヴァルトって、変なところもあるけれども、やるときはきちんとやるし、幼い頃から私にとっては特別な存在だったの。まぁ、王子というのもあって最初は憧れていたんだけど、それでもやっぱり近くにいればいいところに目がいって、惹かれていくのよね」
憧れが好きに変わった。そういうことにちがいない。
「だから余計にクライブが邪魔だったというか、まぁ、そんな感じよね」
なんとなくその状況が予想できて、イリヤは苦笑する。