このたび聖女様の契約母となりましたが、堅物毒舌宰相閣下の溺愛はお断りいたします! と思っていたはずなのに
「まぁ、そういうことがあって。私とクライブの仲はこじれちゃって。さらに、女性嫌いというか女は敵だみたいな、そんな感じになっちゃって。そういうわけで、今まで独身、婚約者なしだったわけ」
つまり、クライブの女性に対する毒吐きはトリシャが原因だった。
「そんなクライブに聖女様の養父が務まるとは思えないでしょう?」
その言葉には同意する。出会った当初の彼は、それはもう、酷かった。マリアンヌはクライブの顔を見ると、眼鏡外し攻撃ばかりしていたし、クライブが抱っこしようとすると変な顔をして暴れ出す。
今では一緒に風呂に入る仲になったが、マリアンヌにどんな心境の変化があったのかなんて、イリヤにはわからない。
「だけど、イリヤが一緒になってくれてよかったわ」
「ですが、私と閣下の結婚は契約結婚です。マリアンヌが結婚しましたら、離婚する予定です」
そうなの? とトリシャは首を傾げる。
「寂しいわね。けれども、マリアンヌが結婚するのは、あと十年以上も先でしょう? そのときにはあなたの考えもかわっているのではなくて? それに、子どもが結婚して手が離れたら、私たちの生活なんて余生よ、余生」
「でしたらその余生は、一人で好きなことをして楽しみたいですね」
イリヤが明るい声で応えると、トリシャは大きくため息をついた。
「どうかされました?」
「いいえ。ただ、クライブはかわいそうねと思っただけよ」
その言葉をトリシャが口にするのかと思わずにはいられないのだが、それは呑み込んだ。先ほどから目の前のケーキが美味しそうで気になっていたのだ。一通り話が終わったところで、イリヤはやっとそれに手を出す。
つまり、クライブの女性に対する毒吐きはトリシャが原因だった。
「そんなクライブに聖女様の養父が務まるとは思えないでしょう?」
その言葉には同意する。出会った当初の彼は、それはもう、酷かった。マリアンヌはクライブの顔を見ると、眼鏡外し攻撃ばかりしていたし、クライブが抱っこしようとすると変な顔をして暴れ出す。
今では一緒に風呂に入る仲になったが、マリアンヌにどんな心境の変化があったのかなんて、イリヤにはわからない。
「だけど、イリヤが一緒になってくれてよかったわ」
「ですが、私と閣下の結婚は契約結婚です。マリアンヌが結婚しましたら、離婚する予定です」
そうなの? とトリシャは首を傾げる。
「寂しいわね。けれども、マリアンヌが結婚するのは、あと十年以上も先でしょう? そのときにはあなたの考えもかわっているのではなくて? それに、子どもが結婚して手が離れたら、私たちの生活なんて余生よ、余生」
「でしたらその余生は、一人で好きなことをして楽しみたいですね」
イリヤが明るい声で応えると、トリシャは大きくため息をついた。
「どうかされました?」
「いいえ。ただ、クライブはかわいそうねと思っただけよ」
その言葉をトリシャが口にするのかと思わずにはいられないのだが、それは呑み込んだ。先ほどから目の前のケーキが美味しそうで気になっていたのだ。一通り話が終わったところで、イリヤはやっとそれに手を出す。