身代わり少女は、闇夜の帝王の愛に溺れる。

第5夜

「お疲れ、日和」



「学校は楽しかった?」



「一葉さんと、理音さん……⁉」



大河に抱えられたまま車に乗り込むと、長ソファのような座席に、一葉さんと理音さんが横に並んで座っていた。



二人とは向かい合わせになる空いてるスペースに座らせられた後、棗と大河が私をはさんで着席する。



とりあえず、理音さんは付き添いで来てるっぽいからいいとして……。



「一葉さんは私が大変な思いをしている時に、こんな所でくつろいでたんですか?」



つい嫌味っぽい言い方になってしまったけど、当の一葉さんは、それをある意味私が自分と打ち解けてきたと捉えたのか。



怒ったり、不機嫌になったりするどころかほほ笑んでいた。



本当に、何考えてるのかわかんないから、不思議でならない。



「くつろいでるんじゃなくて、待ってたんだよ」



「えぇ……」



「仕方ないでしょ。ただでさえあの騒ぎだったんだから。僕があの大勢の場に顔を見せただけで、大事件になること必至でしょ?」



たっ、たしかに……。



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