身代わり少女は、闇夜の帝王の愛に溺れる。
「き、如月は……?」



「寝てる」



うわ、マジか。



自分から呼び出しておいて寝てるって、もう完全に私との約束の件は忘れられてるな……。



呆れて小さなため息をつくと、「ってかさあ……」とノアが私をじろじろ見ながら、とげとげしい声を放ってきた。



「何?」



「いや、そっちこそ何? って感じ。どうしたの、その格好」



「えっ……」



「髪はボサボサ、服もしわくちゃ。コートも脱がずに着たままだし……。そんなだらしない格好で、如月に会いに来ただなんて本当にあり得ない」



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