身代わり少女は、闇夜の帝王の愛に溺れる。
「何? なんか用?」



ドアの隙間から顔をのぞかせていたのは、男物のシャツをワンピースのように着た女の子だった。



腰に届きそうなほど長いストレートの黒髪に、対照的な白い肌。



つり上がった大きな目に、色素の薄いヘーゼルカラーの瞳。



背丈も、体の肉付きもほぼ私と同じ。



そんな、まるで鏡に映った自分がそのまま現れたかと思ってしまうぐらい、何もかも私にそっくりなこの子は、如月の本当の彼女・柏木(かしわぎ)ノア。



このことを知っているのはplatinumのメンバーだけで、彼女の存在はチームのトップシークレットとされている。



そんなノアが、如月の部屋から出てくるなんて、別におどろくようなことではないけれど。



彼女の首から鎖骨にかけて散った赤い花びらのようなキスマークが、私がいない間にあったこの部屋での出来事を物語っているようで、つい動揺して目が泳いでしまう。

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