彼は推しと瓜二つ
尾形と門倉は、音が顔面蒼白になっているのにすぐ気がついた。

尾形「杉山さん……?!どうしました……?」

音「あ、いや、何でもないの。尾形さんが大丈夫か気になって、慌てて戻って来たから息が切れちゃったの。」


とてもそうは見えない、尾形はそう感じた。


音は 「ごめんなさい、ちょっと10番に行ってくるから、門倉くん、頼むね。」

尾形「……私、余計な事しちゃったのかな………」


門倉「………そうだな、きっとそうだ。」

門倉は淡々と言い放つも、何かを察している様だった。


門倉(……杉山さんのあの慌てよう……本物のMITSUKIだってやっと気づいたとか?)


男が門倉のレジに来た。

男は音を探しているのか、辺りを見回していた。

男「……あの女性の店員さんは?」


門倉「あー…今ちょっと裏に行ってますね。」

男「そうですか………」

門倉(明らかに、何かあったな………)


◯スーパーのトイレ

音(どうしよう……仕事中なのに、しっかりしろ、自分。

でも、こんな頭が混乱してる状態で、とても売り場なんかに出れない……。

あの人がもしMITSUKI君の身代わりでもある双子だったとしたら……

あの冷めた表情、今まで見た事ないくらい怖かった……。

どうしよう、最推しのMITSUKI君の重大な秘密を知ってしまったとしたら………)


音はまだ心が落ち着かなかったが、今は仕事をやり遂げなければと決心し、深呼吸をしてトイレを出た。


音(あの人も、さすがにお店は出たよね…?)
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