眠れる海の人魚姫〜政略結婚のはずが、御曹司の一途な執着愛に絡め取られました〜
嶺人が愉快そうに首を傾げる。美雨の脳裏には姉の美波と話すときの彼の横顔が浮かんでいた。姉と話すときの嶺人はもっと気楽で、親しげで、穏やかな顔つきをしている。美雨にはどうしても向けられない表情。
だから美雨は決めたのだ。少しでも彼に意識してもらいたい。自分はもう子供ではないのだと知ってもらいたい。そのために、この恋を告白するのだと。
『あの、あのね、嶺人くん。次の試験で、学年で一番を取ったら――』
そのとき、車のタイヤがアスファルトの上を滑る、甲高い音が辺りに響き渡った。
人々の絶叫がこだまする。思わず振り返った美雨の目に、歩道を乗り越えてこちらに向かってくる黒色のSUVが映った。嶺人が何か叫んで、美雨の腕を引こうとする。
どうしてあの刹那、そんなことができたのか、美雨は今でもわからない。
SUVが突っ込んでくる――と認識すると同時、美雨はとっさに嶺人の前に飛び出していた。
衝撃は一瞬で、痛みが襲ってきたのは数秒後。
歩道に叩きつけられた美雨は、右足に焼けるような激痛を感じて悲鳴をあげた。
『美雨!』
駆け寄ってきた嶺人が美雨のそばに膝をつく。こちらを覗き込んでくる彼の面差しは必死で、切実で、心配そうで、それだけで痛みが和らぐような気がした。こんなに懸命に嶺人が美雨を呼んでくれることはなかったから。
『嶺人くん、怪我はない?』
だから美雨は決めたのだ。少しでも彼に意識してもらいたい。自分はもう子供ではないのだと知ってもらいたい。そのために、この恋を告白するのだと。
『あの、あのね、嶺人くん。次の試験で、学年で一番を取ったら――』
そのとき、車のタイヤがアスファルトの上を滑る、甲高い音が辺りに響き渡った。
人々の絶叫がこだまする。思わず振り返った美雨の目に、歩道を乗り越えてこちらに向かってくる黒色のSUVが映った。嶺人が何か叫んで、美雨の腕を引こうとする。
どうしてあの刹那、そんなことができたのか、美雨は今でもわからない。
SUVが突っ込んでくる――と認識すると同時、美雨はとっさに嶺人の前に飛び出していた。
衝撃は一瞬で、痛みが襲ってきたのは数秒後。
歩道に叩きつけられた美雨は、右足に焼けるような激痛を感じて悲鳴をあげた。
『美雨!』
駆け寄ってきた嶺人が美雨のそばに膝をつく。こちらを覗き込んでくる彼の面差しは必死で、切実で、心配そうで、それだけで痛みが和らぐような気がした。こんなに懸命に嶺人が美雨を呼んでくれることはなかったから。
『嶺人くん、怪我はない?』