海が凪いだら迎えに来てね〜元カレ海上保安官に極秘出産が見つかるまでの軌跡〜
私に背を向けている、海上保安官の男性に「大丈夫です、ありがとうございます」と一言声をかけて、彼の傍を通り抜け救助されている場所まで早足で向かう。
救助される順番などがあるのかも、もはや分からないけど・・・とりあえずこの船が沈まないと安心出来た今、次に回避したいのは凪砂に会ってしまうことだ。
仮にもし凪砂にこの先会わなければいけない時が来たとしても、こんな形で会うことだけは避けたかった。
どうせ会うなら、もっとちゃんとした場所でっ・・・お互いのことをゆっくり話せるような、そんな環境でっ・・・
乗客の人達が並んでいる列に自分も追いついたとき、、先程の海上保安官の男性に肩を叩かれて驚く。
「すみません、あなたは船ではなくヘリで搬送させていただきます。反対側の展望デッキの方まで一緒に来てください。」
──…ヘリ・・搬送・・?
言われた意味が分からなくて、首を傾げると、男性は「ちょっと、失礼します・・」っと言って、両手を伸ばしてきたかと思うと、遠慮がちに私の顔面に触れてくる。
その異常行動の意味が分からずされるがままに大人しくしていると、男性は気まずそうに顔を歪める。
「やはり気が付いてませんか?頭部、どこかでぶつけませんでしたか?・・・かなり出血してます。」
──…出血している
正直どこから血が出ているのか分からず、両手で顔中ベタベタと触りまくった。
「っえ・・・何これっ・・・いつから、、」
手に付着した血を見て、ハッと思い出す。瀬凪が泣きじゃくっていたのは、これのせいだったのか。
おそらくあの時、頭をぶつけてそのまま意識がぶっ飛んだのだろうと思い、瀬凪に不安な思いをさせた罪悪感が芽生えてくる。