ヤキモチ妬きな彼からの狂おしい程の愛情【完】
 会いたいけど、会いたくない。そんな思いが交差する。

「おい、莉世! 居るんだろ? 話がある! 開けてくれ!」

 すると、インターホンを鳴らしただけでは出ないと悟った雪蛍くんが声を上げて開けるよう懇願する。

 こうなってしまうと、ご近所にも迷惑が掛かるし、何よりも雪蛍くんが私の部屋の前に居るだなんて知られては大問題だ。

 私は急いで玄関まで向かってドアを開けると、

「莉世……」
「雪蛍くん……」

 険しい表情が一変して、今にも泣き出しそうな悲しげなものに変わり、私を強く抱き締めた。

 ドアが閉まる音だけが、室内に響く。

 雪蛍くんは私を抱き締めたまま、何も言わない。ただ、温もりだけが伝わってくる。

 会いたかった、ずっと触れたかった、こうして、抱き締めて貰いたかった。

 あの日から不安で堪らなくて、どうしていいか分からなくて、一人悩んでいた私にとって雪蛍くんの温もりは温か過ぎて、自然と涙が溢れて来た。

「莉世、ごめんな、気付いてやれなくて。もういい。一人で悩まなくていいから、俺に全てを話してくれ」
「雪蛍くん……?」
「大丈夫、俺は莉世を信じる。何があっても、俺は莉世を信じてる。だから、あの日あった事を、全て話してくれ」
「!」

 彼のその言葉で、全てを理解した。

 雪蛍くんは知ってしまったのだ。

 あの日の事を――。
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