もつれた心、ほどいてあげる~カリスマ美容師御曹司の甘美な溺愛レッスン~
 額の少し上に冷たさを感じ、瞬間、ぴくっと体を震わせた。

「ごめん、冷たかった?」
「ううん、大丈夫です」
 タオルが落ちないように、わたしはそっと首を振る。

 シャンプーが泡立てられはじめ、「力加減は?」とか、「お湯の温度大丈夫?」とか聞かれるたびに「はい、大丈夫です」と答えるけれど、その声が上ずっていないか、心配になってしまう。

 早く終わってほしいような、ほしくないような。
 そんな気持ちがわたしのなかで交錯していた。

 でも,絶妙な力加減で施されるヘッドスパは、最高に気持ちが良かった。

 今日一日の疲れが、すべて抜けていった気がした。
 施術前は少し頭が痛かったのに、終わった後はすっかり治っていた。
 
 そのあと、髪をお湯に浸したまま、トリートメント。

 ブローまで入れると小一時間、ゆったりとした音楽が流れるなか、玲伊さんとふたりきりの贅沢な時間は過ぎていった。

 これが今日限りじゃなくてしばらく続くなんて知られたら、世間に数多(あまた)存在する、玲伊さんファンの恨みを買いそうだ。
 
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