もつれた心、ほどいてあげる~カリスマ美容師御曹司の甘美な溺愛レッスン~
「うん、ケーキじゃなくて良かったです。抑えている分、絶対、反動が来るから」

 贅沢すぎる午後のひとときだった。

 地上を走る車の騒音は聞こえていたけれど、やかましいほどではない。
 屋根を通した光が柔らかく、テーブルを包んでいる。
 どこから飛んできたのか、鳥の囀りも聞こえる。

 そして目の前にいるのは、くつろいだ顔でフルートグラスを傾けている玲伊さん。

 本当の本当に夢のようで、まるで現実感がない。
 
 そして、こんな素晴らしい時間を過ごしているのに、いや、素晴らしい時間だからこそ、わたしの心の内はすぐに切なさがこみあげてくる。

 こんなに近くにいるのに、彼がけっして手の届かない存在だと思い知らされて。

 でも、顔に出したらいけない。
 なぜか玲伊さんには、すぐに見破られてしまうし。
 暗い顔なんか見せたら、こんな素敵な機会を提供してくれた玲伊さんに申し訳なさすぎる。

 わたしはフルートグラスを手に取って、ぐいっと一口飲んだ。
 急激にアルコールが回り、頬が火照ってくる。
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