もつれた心、ほどいてあげる~カリスマ美容師御曹司の甘美な溺愛レッスン~
 玲伊さんもグラスをあけて、2杯目をついでいる。

「昼から気持ちよく酔えそうだ。それも休日の醍醐味だからな。鳥が鳴いてるね。鳥だけじゃなくて、こんな屋上にも、たまに蝶や蜂がやってきたりするんだよ」

 ワインのせいか、彼はいつもよりもさらに饒舌だ。

「そうなんですね。でも、ここがこんなに緑豊かだなんて思いもしませんでした。下から見ただけじゃ、わからないものですね」

「忙しくてなかなか散歩にも行けないから。だからせめてもの慰めに屋上緑化したんだよ」
「本当に素敵」
「ここで、何度かガーデン・パーティーしたこともあるよ」

 きっと、そこに集う人たちは、玲伊さんみたいにきらめいている人ばかりなんだろう。
 そのことが脳裏をかすめ、また、切なさの波に覆い尽くされる。

 彼の世界とわたしの世界は、絶望に打ちひしがれてしまうほど、違う。


「ここでパーティーなんて、映画とかドラマそのものです……ね」

 今度はごまかしきれなかった。
 つい、固い声でそう言い、表情を曇らせてしまったわたしに気づいて、玲伊さんは静かに問いかけてくる。

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