もつれた心、ほどいてあげる~カリスマ美容師御曹司の甘美な溺愛レッスン~
 「この店をたたむことになるかも知れなくてさ。だからさ、優紀が玲伊ちゃんと付き合うことになったときは、正直、ほっとしたんだよ」
 
 寝耳に水の話だった。

 「たたむって……なんで?」
 「この辺りに再開発の話が出ていてね」

 「ああ、空きが目立つようになった都営団地をどうするかって話ですよね。この商店街も対象になっているんですか」

 同じ地区で事業を展開している玲伊さんも、そのことは当然知っていた。

 「そうなんだよ。はじめは団地だけって話だったんだが、どうせなら、この商店街も含めて、住居と店舗、それに病院や学校も含めた複合施設を作ろうっていうことに、だいたい方向が固まってきたらしくてね。ほら、なにしろ一等地だろう、ここらは。街の美化につながるし、集客も税収も見込めるって行政も乗り気みたいでね」

 「でも店舗は新しい施設に引き継げるんじゃないの?」とわたしが尋ねると、祖母は首を振った。

 「それがそうもいかなくてね。町会長さんから内々で言われたんだが、その計画では、大手の書店が店を出すそうでね。はっきりは言われなかったけど、うちの店の居場所はないらしい」
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