もつれた心、ほどいてあげる~カリスマ美容師御曹司の甘美な溺愛レッスン~
 「さっきの話。わたし、やっぱり納得できないよ。この店が無くなるのを黙って見ていられない」

 祖母は静かに首を振った。

 「たとえ再開発の話がなかったとしても、本屋っていう商売自体がもう限界なんじゃないかと、最近思うようになってね」
 「なんで……」

 「お前だって気づいているだろう。一日、数えるほどしか客が来ない。たのみの学校も少子化が進んで、合併やら廃校の話も出てる。どっちを見ても、先がないことばかりだよ」

 「でも……最近、少しずつだけど、お客さんも増えてきたし」

 なんとか気持ちを変えさせようと、わたしは必死で言葉を続けた。
 でも、祖母はただ首を振るばかり。

 「優紀、あたしはね」
 祖母はわたしの目を見て、そして言った。

 「優紀に悪いことをしたって、ずっと後悔していたんだよ」

 「どういうこと?」


 「じいさんが死んだとき、あたしが子供らの意見にちゃんと耳を傾けていれば、こんな先のない商売にお前を引っ張り込むこともなかったとね」

 今度はわたしが首を振る番だった。

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