もつれた心、ほどいてあげる~カリスマ美容師御曹司の甘美な溺愛レッスン~
「ああ、いいよ。じゃあ、ついでにいつものレモンサワー買ってきて」
「わかった、それだけでいい?」
「ああ」

 わたしはお財布を掴んで、近所のコンビニに向かった。

 おばあちゃん、勘違いもはなはだしい。
 玲伊さんがわたしなんかをデートに誘う訳がない。

 とはいえ、この後、玲伊さんと食事に行けるんだ、と思うと仕事に身が入らず、そわそわしたままその日の午後は過ぎていった。

 そして閉店10分前。

「おや、玲伊ちゃん」
 外に出していたラックを店に入れていた祖母が嬉しそうに声を弾ませたのが、聞こえてきた。

 彼の「優ちゃん、います?」という声が聞こえて、とたんに落ち着かない気分になってくる。
「ああ、奥にいるよ。食事に誘ってくれたんだって? 優紀、ずっとそわそわしっぱなしで……」

 おばあちゃんがよけいなことを言う前に、わたしは慌てて二人のそばに向かった。

「玲伊さん。奥で少し待っていてくれますか? 閉店作業をしちゃうので」
 そういうと、祖母はわたしの肩をぽんと叩いて言った。

「もうレジ締めだけだし。あとはわたしがやっておくから、ほら、行っておいで」
 出口までわたしの背中を押していくと、「楽しんでおいで」とわたしたちを見送った。

< 84 / 277 >

この作品をシェア

pagetop