もつれた心、ほどいてあげる~カリスマ美容師御曹司の甘美な溺愛レッスン~
「もう無理。本当にもう一口も食べれないです」と言うと、彼は「デザートでも無理?」と聞いてきた。

「えっ、デザート、ですか?」
 わたしがデザートという言葉に喰いつくと、玲伊さんはニヤッと笑った。

「うん。夜パフェの店。優ちゃんは行ったことある?」

「え、もしかして、最近できた札幌に本店がある、あの店のことですか?」
「そうそう。店から近いし、一度行きたいと思ってたんだよ。でも、満腹じゃ無理か」

 そこは雑誌やテレビで紹介されている話題の店で、わたしも前からチェックしていた。

 ……今日を逃したら、しばらく行けないんだよね。

「あの店なら、行きたい……です」
 もうなんにも食べられないと言った手前、ちょっと恥ずかしかったけれど、そう答えた。

 すると彼は少しいたずらっぽい目でこっちを見て言った。
「あれ、『もう無理』じゃなかったの?」

「えーと、甘いものは完璧に別腹なので。大丈夫。詰込みます」 

 玲伊さんはぷっと吹き出す。
「優ちゃん、本当に好きなんだな、スイーツが」

「はい。毎回食べるたびに感謝してます。こんなにおいしいものを作ってくれてありがとうって」
「誰に?」
「うーん。神様かな」

「そういえば、お菓子の神様が祀られてる神社があるの、知ってる?」
「えー、そんなのがあるんですか?」
「うん。俺も行ったことはないけど。人に聞いただけで」

「じゃあ、いつかその神様に感謝を捧げに行かなきゃ。ググったらわかりますよね」

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