もつれた心、ほどいてあげる~カリスマ美容師御曹司の甘美な溺愛レッスン~
 でも玲伊さんは、今日もきらめいている〈リインカネーション〉を通り過ぎて、うちの店の前まで送ってくれた。

 表通りはまだまだにぎわっていたけれど、一本裏に入ると、どの店のシャッターも閉まっていて、通りかかる人もいない。

「じゃあね。来週からよろしく」
「玲伊さん、あの」
 わたしは帰ろうとする玲伊さんを引き留めた。
 彼は少し首をかしげて、わたしの言葉を待っている。

 姿勢を正してから、こう告げた。
「初めてのことだらけで、うまくできるかどうかわからないですけど。でも、ご迷惑をかけないように頑張ります」

 玲伊さんは嬉しいような、それでいて、少し困った顔でわたしを見つめた。
「優ちゃん……きみって子は。俺が無理に頼んだことなのに、そんなふうに言ってもらえると嬉しいよ。困ったことがあったら、俺でも岩崎でも、すぐ言ってくれよ」
「はい。そうします」

 それから、彼は少し声のトーンを落として呟いた。
「やっぱり可愛いな、優ちゃんは」
「えっ?」

 玲伊さんはわたしを見つめた。
 わたしが首をかしげて、次の言葉を待っていると、小さく呟いた。
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