もつれた心、ほどいてあげる~カリスマ美容師御曹司の甘美な溺愛レッスン~
「頑張り屋なところは、たしかに優ちゃんの美点だ。でも、いつも張りつめていたら糸みたいに切れちゃうよ。もう少しリラックスしたほうがいい」

 返す言葉が思いつかずに口をぱくぱくさせているわたしに微笑みかけながら、玲伊さんは「じゃあね。来週からよろしく」と告げた。

 そして、ぱっと後ろを振り返って、キラキラとライティングされている自分の城に帰っていった。

 去ってゆく後ろ姿を見送りながら、わたしの頭のなかは大混乱していた。

 でもでも、やっぱり、なんで、ハグなんか?
 
 あ、そうか。玲伊さん、アメリカで暮らしていたんだ。
 だから玲伊さんにとっては、ハグなんて単なる挨拶にすぎないのか。

 でも……
 好きな人に単なる挨拶のハグをされるのは、日本で生まれ育ったわたしには切ないだけ。
 
 たぶん「幸せホルモン」は分泌されないと思う……

 おばあちゃんに動揺を見透かされないように、わたしは自分で頬をぱちぱちと叩いて深呼吸してから「ただいま」と家に入っていった。

「おかえり。楽しかったかい」
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