リングノート〜必ず君を甲子園に連れて行く〜
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俺はそんな事よりすずの事が気になって、

まだ話しているみんなを置いて教室に向かった。


あれ、、教室にもすずの様子はない。

屋上かな、、、

俺は教室に荷物を置いて走って屋上に行く。


屋上にもいない、か、、、。

そう思って教室に戻ろうとすると、

誰かの泣き声が聞こえた。

「、す、、ず?」

屋上の片隅で、誰にも見えない所で

泣いていたのはすずだった。

「え、翔!なんでいるの!」

そう言って俺に隠れるように涙を拭く。

おま、なんで泣いてんだよ。」

初めてすずが泣いている姿を見た。

「なんでもないっ!ごめん、こんな姿見せて。」

「普段絶対泣かないお前が泣いてるんだ。なんでもないわけないだろ、テストの事か?」

俺がそう言うと、すずは言った。

「私、野球部にいられなくなるかもしれないっ。」

「は?なんでだよ、どう言う事だ?」

「お母さんに言われてたのよね、マネージャーやるなら、定期テスト10位以内が条件だって。元々マネージャーには反対だったからさ。」

「お前がいない野球部なんて表洋高校野球部じゃねーよ!!なんとかならねーのか?!今度のテストで1位取るとかなんとかいってさ。」

「無理だと思う。私のお母さん、私に似て頑固だから、、、」

「お前がいねーなんてありえねーよ!!!なんとか説得できないのか?!」

そう俺が言うとすずは涙を拭きながら少し笑った。

「なんでこんな時に笑うんだ、俺は真剣にいってるんだぞ。」

「真剣に翔が私の事必要としてくれてるから、なんか嬉しくて笑っちゃったのよ。」

「当たり前だろ。俺にはお前が必要だ。俺たち、親友だろ?」

そう言うと、すずはつぶやいた。

「し、んゆう、、、」

「違うのか?」

「そうだね!私達は親友だよ!!ごめん!せっかく初めての赤点回避でみんな喜んでる時にっ。」

「てかお前よ、そんなんならなんで俺たちのために自分の勉強犠牲にしてたんだよ、お前本当いいやつすぎるよ。」

すずは何も言わず、空に向かって大きく深呼吸をした。

「はぁーあ!なんか泣いて翔に話したら、スッキリした!」

そう言うとすずは、

少し崩れた髪の毛を直すため髪ゴムをとった。

サラッ

風に乗ってすずの髪の毛から

石けんのいい香りが俺に届いた。

ズキッ

髪を下ろしたすずが俺の方に振り返っていう。

「翔、ありがと!」

初めてすずが髪の毛を下ろしているのを見た。

すずって案外可愛い顔してるのな。

ズキッ

なんなんだこの胸の痛みは。

初めてのことで何が何だかわからない。

俺は心臓の病気かなんかか?

そう思っていたら、すずは髪の毛をまとめ直して、

いつものオールバックポニーテールの姿に戻っていた。

「私今日、お母さんを説得してみるっ!」
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