リングノート〜必ず君を甲子園に連れて行く〜
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工藤監督はそう言う理由だったらと、

俺の外出を許可してくれた。

まじで怖い人だけど、優しい所もある。


「うちここ。」

すずの家に着いた。

「いや〜それにしても緊張するなぁ、いつか彼女が出来て、彼女の親に結婚の許しを貰いに行く時も、こんな気持ちなんだろうな。」

そう俺が言うと、すずが笑って言った。

「大袈裟だなぁ〜ただ私のお母さん、私よりも頑固な人だから、翔頑張ってね!私の人生、翔にかかってるよ!!」

「お、おまえも人生って大袈裟だよ、、、」

余計に緊張感が増した。



「お邪魔しまーす。」

「あー!翔くん、いらっしゃいっ!」

そう言って、すずにそっくりの、

顔立ちのはっきりした40歳くらいの女性が

リビングから玄関に走ってきた。

翔、くん?って今呼ばれたよな?

初対面だよな、、、?

「初めまして、すずさんと同じクラスで野球部の成瀬翔です。中学校もすずさんと一緒で、、、」

そう自己紹介をしようとすると、

すずのお母さんが言った。

「翔くん!もちろん知ってるわよぉ〜。まさかすずがお家に連れてくるくらい翔くんと仲良かったなんて、、、まぁとにかく入って入ってっ!」

そう言ってリビングに走っていく。

へ?俺とすずは2人で顔を合わせる。

何が何だかわからなかったけど、

とりあえずお母さんの後を追った。

「夜ご飯まだなんでしょ〜食べて行ってっ」

テーブルにはこれでもかと言うくらい

豪華なご馳走が並んでいた。

唐揚げにエビフライにお刺身、その他10品ほど。

「お母さん?!どういうこと?!」

すずが叫んだ。

「だって翔くんが来るっていうんだもの〜これじゃ足りないくらいだわよ〜」

そう言うお母さんにすずは、

思い出したような顔をして俺に耳打ちする。

「そうだった、、うちのお母さん、あんたのファンだった、、、」

へ?

一層訳がわからない。

「今年の夏の県大会決勝もね、すずの学校が出るって言うもんだから私、1人で観に行っててねぇ、そこであなたを観たの!」

それってあの悪夢の日のことじゃねーか。


「確かにチームは負けてしまったけど、あなたのあの一球にはとても感動したは。それにマウンドに入る前の一礼。マウンド上での立ち振る舞い。バッターを殺してしまうのではないかと思うような殺気。本当にかっこよかったわ〜。」

まさか、あの時の俺のことを

こんな風に思ってくれる人がいたなんて。

そう思ったら嬉しくて、気付いたら、

お母さんと話し込んで1時間が過ぎていた。

すずが呆れて言う。

「あの、翔。そろそろ本題に入って。」

「あ、ごめんごめん、つい話に夢中になって忘れてた。お母さん!」

そう言って話しはじめようとすると、

「マネージャーの事なら、いくら翔くんに頼まれてもそれは許せないわ。」

「それはどうしてなんですか?」

「私はすずが小さい頃にね、すずの父親とは離婚したの。彼はとんでもない人だったの。だからすずには良い大学に入って、そこで優秀な人を見つけて結婚して幸せになって欲しいのよ。でも順位が下がってしまっては良い大学の推薦も貰えないでしょ?」

それは確かにその通りだ。でも、、、

「でももし俺たち野球部が甲子園に行ったらどうですか?!甲子園に行った野球部のマネージャーって言ったら、推薦貰うにも有利になるんじゃないですか?」

すずのお母さんは驚いて目を丸くしていた。

「確かにそれはそうだわ。でもこんな事言ったら失礼かもしれないけど、甲子園に行けるかはわからないでしょ?」

「俺、絶対にすずを甲子園に連れて行きますっ!うちの野球部にはすずがどうしても必要なんです!お願いです!お母さん!」

すずも俺に続いて言う。

「お母さん、翔はプロ入り確実って言われてるピッチャーなんだよ!それに2年にもそう言う先輩が1人いる!うちなら今年こそ甲子園に行けると思うの!」

お母さんはびっくりしたように言う。

「まぁ!あなたプロ野球選手になるつもりなの?!すごいじゃないっ!!」

え?俺とすずは顔を上げた。

「だったら、もしすずが良い大学に行けなくて良い人に巡り会わなかったとしても、あなたが責任を持ってすずと結婚して、すずを幸せにしてくれるかしら?」

「お母さんっ!私達そう言う関係では無いから!でも、絶対に良い大学に入って幸せになってみせるから!許してくれない?」

そんなすずの言葉を無視してお母さんは言う。

「翔くん良い子だし、お母さん嬉しいわぁ。翔くん、すずのこと一生頼むわね!それならマネージャーを続ける事、お母さん許すわ!」

なんか、俺とすずが結婚する

ってことになっちゃってねーか?

まぁでも許してくれたんだから

ここは何も言わないどこう。

「すずのお母さん!本当にありがとうございます!俺たち、一層頑張ります!!」

そう言って俺はすずの家を後にした。
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