離婚前提婚~冷徹ドクターが予想外に溺愛してきます~
『相手はお医者さんだよ。私なんて相手にするわけないじゃない』
『まあね。ああいう人たちはつりあった家柄の人と結婚するものだわね』

お母さんの悪気ないセリフが、ちくりと胸に刺さった。

わかっている。そんなの一般常識だ。

『遊ばれないようにね』
『大丈夫だって。それにすぐに相手の女の人が諦めてくれれば、そこでお役御免だから』
『諦めないわよ。そういう変な女は』

母はずっと反対していたけど、私のネットバンクに先生から大金が振り込まれたのをスマホの画面で見せたら、ようやくおとなしくなった。

『嫌だったらすぐやめなさい。いざというときに返せるように、お金にはできるだけ手をつけないこと』

おそらく、大金を惜しげもなく振り込めるところで、先生が本当に医者であるという確証が持てたのだろう。

身元がはっきりしているだけでも、母の心は軽く……ならないか。

お金はないけど、愛情はある。娘が彼氏でもない男の家に転がり込むなんて、心中穏やかでないに決まっている。

< 103 / 246 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop