離婚前提婚~冷徹ドクターが予想外に溺愛してきます~
八時頃出発し、現地に到着したのはちょうどお昼前だった。

「海だ~!」

目の前には青い海と薄いグレーの砂浜。

どこぞの南国みたいなエメラルドグリーンではなく、青に少しだけ緑を溶かしたような海に、私は興奮していた。

「いつも仕事が大変だから、こういうぼんやりできるところもいいと思って」
「最高です! 私、海ってあんまり来たことがないんです」

小さい頃はお母さんひとりだと大変だから、海なんて連れていってもらえなかった。

学生の頃はバイトばかりで以下略。

まだ海水浴シーズンではないからか、観光客もまばらにしかおらず、波の音しか聞こえない。

いつも大音量で鳴るナースコールや離床センサー、モニターの音に囲まれているので、静かなところがすごく新鮮だ。

「来たばかりでなんだけど、あそこで食事はどうかな。海鮮丼が有名らしい」

すぐそこには大きな道の駅があり、そちらはまあまあ人が入っている。

海を見ながら海鮮を食べるなんて、すごくぜいたく。

「少し散歩してからでもいいですか」
「もちろん」

人の少ないうちに、この海岸を満喫したい。

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