離婚前提婚~冷徹ドクターが予想外に溺愛してきます~
ご両親とも多忙な医者であるため、宅配ピザの夕食ばかりが続き、ニキビが顔中にできた話なんて、不覚にも笑ってしまった。

医者の一家だなんて、ものすごいプレッシャーの中で生きていそうとか勝手に思うけど、本人は特にそういうふうに思ったことはないらしい。

「両親は一度も俺に医者になれなんて強要しなかった。自分でこの道を選んだんだ」

潮風が彼の髪をなでる。

とっつきにくかった彼のイメージが、どんどん身近なものになっていく。

「それにしても歩きにくそうだな。はい、手」

海に来るとは聞いていなかった私は、パンプスなんて履いてきてしまった。

これなら逆にいつものスニーカーの方がよかったかも……。

砂に足を取られてモタモタする私に、圭吾さんが手を差し伸べる。

それを取ると、彼の手の中に私の手がきゅっと包み込まれた。

こうして男の人と手をつないで歩くなんて、小学生の遠足以来だ。

胸が高鳴って、余計に足がもたつく気がした。

共同生活も、手をつないで歩くことも、少しずつ慣れていこう。

一歩一歩一緒に歩んでいけば、いつかは……。

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