離婚前提婚~冷徹ドクターが予想外に溺愛してきます~
帰り際、お兄さんは車の前まで見送りにきて、圭吾さんに頭を下げた。

「長男なのに逃げてすまない。俺が今しあわせに暮らせているのは、お前を犠牲にしているからだ」

そのしょんぼりした様子から、彼が安藤さんから受けた精神的苦痛が相当だったことがうかがえる。

「おいおいやめてくれ。こっちは大丈夫だから。また連絡する」

圭吾さんは明るく笑い、車に乗り込む。
発車したあとも、お兄さんはいつまでも駐車場から圭吾さんを見守っていた。

「素敵なご夫婦ですね」
「そうだろ。あの夫婦の間に入ろうなんて、無粋なやつだよな」

誰とは言わないが、無論安藤さんのことだろう。

優しそうなお兄さんだったけど、安藤さんの圧にも負けずに京香さんと一緒になれてよかった。

「そうだ、そろそろ周りにカミングアウトするか。菜美恵もだいぶ参ってるみたいだし」
「あとひと押しってことですね。うーん、菜美恵さんにだけ言うのはどうでしょう」

あんまり周りに言いふらして、すぐ離婚ってなると、圭吾さんのイメージも悪くなるのでは。

私は看護師として働ければそれでいいけど、圭吾さんは違う。

< 147 / 246 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop