離婚前提婚~冷徹ドクターが予想外に溺愛してきます~
これから病院を率いていく者として、イメージは大事だ。

「そうか。俺はバレてもいいけど、七海はそうじゃないのか」
「ん゛っ」

寂しそうに言う圭吾さんに、胸がキュウとおかしな音を立てた気がする。

いやいやいや、翻弄されちゃダメ。

彼の一見甘い言葉や行動は、安藤さんに本当に結婚したと思わせるための作戦だから。


決して、私と本当に仲良くしたいわけじゃない。


「知られたくない人でもいるのかな」
「え……」

まるで独り言のようなトーンだったから、返事をするかどうか迷う。

知られたくない人って、すごく意地悪な人とか、そういう人のこと?

「いない」と答えようとした瞬間、お腹の虫がぐうううと豪快になった。

「ははは。いい音」
「すみません……」
「どこかで夕食にしよう」

笑った圭吾さんは、もう寂しそうでもなんでもなかった。

日が落ちて、急に気温が下がる。

私は上着をブランケット代わりに首元までかけ、顔を隠す。
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