離婚前提婚~冷徹ドクターが予想外に溺愛してきます~
「お母さん、なんか食べるものある?」

弟の瑞希だ。高校三年生の彼は、百六十センチの私より少し背が高い。

「昨日のカレーがあるよ」
「いいね」

とっくにサイズアウトした中学時代の体操服を寝間着にしているので、手首足首が見えている。切ない。

髪も今どきの子みたいにすればいいのに、なんとなくモサッとしていた。

「もう少ししたら図書館に行ってくる」

カレーを食べながら、瑞希がもそもそと言う。

「そう。うちの子はふたりとも偉いわ。きっとお父さんに似たのね」

亡くなったお父さんは、県立大学出身だったらしい。

でも就職するところが悪かったのか、収入は少なかったらしく、遺族がもらえるお金も雀の涙だったとか。

亡くなる前からお母さんは常に節約を意識していたという。

瑞希が『どうして貧乏な親父と結婚したのさ』と遠慮なく母に聞いたことがある。

お母さんは『いい人だったのよ』とだけ答えた。

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