離婚前提婚~冷徹ドクターが予想外に溺愛してきます~
私はお父さんの記憶はほとんどない。休みの日はよく遊んでくれたなとうっすら覚えているくらいだ。

弟はお父さんの血を継いだのか、頭がいい。家だと欲望が多いからという理由で、土日は図書館で勉強している。

百均のトートバッグに勉強用具を詰め込んで瑞希が出発すると、お母さんはため息を吐いた。

「瑞希、公立の大学に行けるように勉強してくれてるけど、お母さん払いきれるかなあ」

瑞希の前では絶対に吐かない弱音に、私も眉を下げる。

「大丈夫、私も助けるから」
「奨学金借りるって言ってるけど、それでもいろいろかかるじゃない。遠くの国立に受かっても、ひとり暮らし費用とか出せないわよ」

アパートに住んだら、月に何万も仕送りしないといけない。

寮でも、ただではないし。

「七海だって遊びたいし、貯金もしなきゃいけないでしょ」
「気にしなくていいよ」
「するわよ。お母さん、七海になにもしてあげられてなくて」
「そんなことない。感謝してるよ」

どんどんネガティブになっていくお母さんを励ますと、少し落ち着いたようだ。

「じゃあ、行ってきまーす」
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