離婚前提婚~冷徹ドクターが予想外に溺愛してきます~
いつもの和やかな雰囲気が戻りかけたナースステーションに、師長の声が響く。

「あなたたちは何度言えばわかるんですか」

静かになったみんなの顔を見回して、師長は言った。

「安藤さん、退院するそうよ」
「えっ」

絶対に自分から退院するとは言わなさそうだったので、みんなが驚く。

「毎日笠原先生が説得していたものね。やっとわかってくれたみたい」

師長は安堵の表情を浮かべる。

圭吾さんの説得に応じてくれたのか。さすがに相手が結婚していたら、そこから陥落するのはかなり難しいものね。

これは彼の契約結婚作戦の勝利と言っていいだろう。

「じゃあ、すぐに会計を出します」

事務員さんがやる気満々で袖をまくる。

会計は入院中のお金を全部計算して明細書を出すので、公費やら福祉、高額医療限度額制度などを使っている患者さんだと、けっこう時間がかかる。

しかし安藤さんはそもそも治療の必要がなかったため、それほど時間はかからないらしい。

保険も普通の健康保険だけ。

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