離婚前提婚~冷徹ドクターが予想外に溺愛してきます~
今から質素な生活に戻らないと、なかなか夢から覚めることができなさそう。


「離婚……」

離婚の二文字が頭を掠めるたび、胸がギュッと痛くなる。

「えっ、なになに。離婚すんの? ダメだよ」

呟きが聞こえていたのか、千葉くんが慌てる。

「あー違う違う。大丈夫だから。帰ろう」

私たちは電車で帰ることにし、一緒に駅に向かった。

問題は最寄駅から家までの道のりだ。そこだけタクシーを使おうかとも考えたけど、途中で買い物をしていくために歩くことにした。

『いい看護師だと思っていたのに』

『がっかりしたわ』

スーパーで野菜を見ていても、大好きなお菓子を見ていても、安藤さんの声がふっとよみがえる。

気にしちゃいけないと思うけれど、どうしても胸に引っかかって消えない。

私がやってきたことって、偽善にすぎないのかな。安藤さんの件は別にしても。

「患者さんのために」とやってきたつもりだけど、実はいい看護師のフリだけしていたのかもしれない。

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