離婚前提婚~冷徹ドクターが予想外に溺愛してきます~
「どうしてそこまで、私を拒絶するのよ。私と結婚すれば、病院のためになるのに」

安藤家と懇意になれば、今よりいい条件で医療機器を仕入れることができると、彼女は言いたいのだろう。

「それだけのために、自分の心を売ることはできない」
「な……」
「俺は七海を愛している」

圭吾さんは真っ直ぐに前を向き、ハッキリと言った。

心臓が跳ね、呼吸が止まりそうになる。

「七海のような周囲を思いやれる、一生懸命な人間が、俺は好きだ」

全身が熱くなる。

これは安藤さんに手を引かせるための演技なのだろうか。

それにしては熱がこもっている。

ああ、彼の言葉が本当だったらどんなにいいだろう。

「私はそうじゃないって言うの? 私だって、家のために尽くしているのに」

安藤さんの顔が般若のようになっていく。

一生懸命自分を正当化しようとしている彼女の言葉は、誰の心も動かすことはできない。
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