離婚前提婚~冷徹ドクターが予想外に溺愛してきます~
「きみはそのために、俺の大事な人を不幸にしようとする。七海だったら、どうやって俺と一緒にしあわせになるか考えてくれる」
「そんなの、私だって」

言い返す安藤さんに、圭吾さんは首を横に振って答えた。

「俺のしあわせは、病院の経営状況をよりよくすることじゃない」

自分の一番の武器は、実家の力だと、安藤さん自身も思っているのだろう。

ほかに圭吾さんをしあわせにする方法を提案したりはしない。できないのかもしれない。

自己愛は自己肯定感とは別だ。

自己肯定感が低い人ほど、自分を守ろうとする。みんなに自分を認めてほしいと渇望する。それが自己愛だ。

「病院のことなんてどうでもいいの? 自分勝手な人ね」
「はは、きみに言われるとはね。でもその通りだよ」

乾いた笑いは、自虐的に響く。

そんなことない。あなたは自分勝手なんかじゃない。

私が彼の裾をつかむと、彼は振り向いて私を安心させるように微笑む。

圭吾さんは優しい。

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