離婚前提婚~冷徹ドクターが予想外に溺愛してきます~
『落ち着くまでここにいるといい』
『え……』
『きみ、誰の担当?』

優しげな眼で見つめられ、どきりと胸が跳ねる。

半田(はんだ)さんです』

学生は実習期間、ひとりの患者さんにつきっきりになる。

その患者さんは指導者が選んでおり、実習向けの穏やかな性格の人が多い。

半田さんは六十代半ばの、優しいおじさんだった。

『ああ、半田敏郎(としろう)さん。その人、俺の患者だよ』

先生は私の向かいにあるパソコンの前に座った。

胸にかかっている名札に、「笠原圭吾(かさはらけいご)」と書かれている。

笠原と言えば、この病院は笠原医科大学病院という名前だ。

もしや、経営者一族?

『昼に半田さんの部屋に行ったら、孫みたいなかわいい学生さんが、一生懸命いろいろやってくれるって話してたけど、きみのことだったか』
『え……』

パソコンが邪魔で、先生の表情はよく見えない。

『きみが来なくなると、半田さんが寂しがるな』
『こ、来なくなるって。私、明日も来ます』
『そう。わんわん泣いてたから、もう無理なのかと思った』

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