女王様を甘やかしたい〜 愛の逃避行は計略的に
「わたし…」
「ストップ。言わないでよ。僕も篠原の人間だ。僕達、医者の世界でも恋愛と結婚は別で、恋愛結婚なんてマレだ。久世家なんて、もっとそうだとわかるよ。政財界や医学界等と均等な繋がりを保たないと、力のバランスが崩れる。一般人との結婚なんて、よほどの覚悟がないと難しい。そんな世界だ。ありすに許婚や婚約者候補が何人もいたように、僕にも、何人かはいる」
自分のことを棚にあげて、玲央に自分以外の女、婚約者候補だろうと、そんな存在がいることにショックを受けた。
そこで、手を繋いできた玲央は、私と視線を絡ませ手の甲に口付けた。
「僕がこうして触れることを許してくれるだけで、…無理して、答えようとしなくていいよ。ほら、そんな顔しないで…笑って」
「れお…」
「…ねぇ、俺と遠くまで逃げようか?」
「えっ?」
「…誰にも内緒でどこかへ旅行しない?」
「なに言ってるの?」
「このままだと、強い重荷とプレッシャーでストレスが溜まる一方だ。自慰さえもできないなら息抜きなんてできないよ。少しの間だけでもいいから、ただの亜里沙のままで、誰も君のことなんて気に留めない場所で自由に生きて、ストレスから逃げてみようよ」