女王様を甘やかしたい〜 愛の逃避行は計略的に
「ほんと⁈やった…もう、誰にも邪魔させない」
玲央らしくない冷ややかな声にドキッとし、表情を見つめたら、照れ臭さを誤魔化していたのだ。
そこに、玲央のポケットから電話の音が鳴った。
心療内科医だが、緊急の呼び出し用に常に持ち歩いているからだろう。
「ごめん、ちょっと出るね」
私を膝の上からおろして、携帯をポケットから取る際に、真新しいストッキングを出してきて、ソファを指差し窓際に立った。
「もしもし…あぁ……ふーん。焦っているんだろうな。…それで?……わかった。一緒にいたことにすればいいんだな。今、亜里沙と同じ階にいるから、時間になったら、廊下で待ち合わせさせる」
玲央が誰かと会話している間に、指差していたソファで、玲央に背を向けて履き替えたのだ。
その間に通話を切った玲央は、口元に手を当て、考える時の癖をしながら、私のいるソファまで歩いてきた。
「…れお?呼び出し?」
「あっ、違うよ。亜里沙には、もうしばらく、ここにいてもらうことになったから、理央のお披露目会には戻らない」
「えっ、どういうこと?」
「詳しい内容は言えないけど、俺を信じて」
「うん。それは信じてるけど、戻らないとお父さん、監視システムを使ってでもホテル中探し出しそうだけど」