女王様を甘やかしたい〜 愛の逃避行は計略的に
安堵したようにぎゅっと胸に抱きしめられ、私は、恐怖を感じた。
「あの人、怖い」
「大丈夫だよ。近寄らせない」
私を抱きしめながら、表情を消していた玲央は頭の中で、多くのことを巡らせていた。
「樹里ちゃんは、うっかりと一人で表通路に出てしまったから、加藤なんかに襲われそうになったんだけど…亜里沙は、もちろん従業員通路を使ってきたんだよね⁈」
突然、体を起こされ顔を覗く玲央は、笑顔なのに見つめる目が怖い。話の中、要所々々に棘をさしてくるあたり、間違えてたら、叱られるヤツだと縮こまった。
「もちろんよ。従業員用通路を使ってきたわよ」
ホテル内を移動する際は、久世家に配慮したホテル側により、従業員通路を使用している。そして、さっきは、エグゼクティブフロントのスタッフが安全面を配慮して、この階の出口までついてきた。
褒めるように頭を撫でだす玲央に、くすぐったいような気持ちでいた。
「加藤と最上は悪い噂が絶えないし、繋がっているから、気をつけて。絶対、一人にならないって約束して」
「うん。知ってる…約束する。それと心配してくれてありがとう」
「ありすは僕にとって大事な人なんだ。心配するのは当たり前だよ」