パパになった消防士は初恋妻を燃え滾る愛で守り貫く
 どれくらい泣いていたのだろう。
 涙が枯れて、呼吸を整えて、彼の胸から顔を上げた。

「ごめん、本当に、こんな子供っぽいこと――」

 恥ずかしくて、顔を上げられない。
 頭の上で、大輝はどんな顔をしているのだろう。

 大輝は私の頭をぽんぽんと撫でて、その手で私の涙を拭おうとしてくれた。
 けれど、それはさすがに申し訳なくて、自分の袖で涙を拭った。

 大輝の前で、私は泣いてばかりだ。
 自分が情けなくて、洟をすすりながらため息をこぼす。

 けれど、心を入れ替えなければ。

「送ってくれてありがとう。じゃあね」

 顔を上げずにそう言って、彼の車から降りた。
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