愛より深く奥底へ 〜救国の死神将軍は滅亡の王女を執愛する〜
一方で、エルシェを滅びの妖女と断じた女神官を探した。
人づてに話をたどり、ゼンナに行きついた。
彼女は幼少期から予言を口にのぼらせ、女神官への道を選んだと言う話だった。女神官になってからも災害などの予言を行い、民衆を救ってきたという。
ゼンナがエルシェを監視する目的で世話係をしていると知って憤った。
休暇をもらった際、ゼンナに会いに行った。
幽閉の尖塔から帰る彼女のあとをつけた。
人気のない場所で木陰にひきずりこみ、短剣をつきつける。
「声を出すな。おとなしく質問に答えれば危害は加えない」
彼女は抵抗しなかった。それどころか。
「いつかいらっしゃると思っておりました。ヒルデブラント様」
「なぜ俺の名を」
思わず答え、失言を悟った。正体を知られては今後に差し支える。必要ならば彼女の命を奪わなければならない。
握った短剣に力を込めた。震える切っ先がゼンナの肌に触れ、赤い筋を作った。
「あなたがいつかエルシェリーア様を救い、救国の主となられると知っております。短剣をお下げください。私に反抗の意志はありません」
そう言われても、にわかには信じられない。
「私も殿下をお救いしたいのです。私のせいで、あの方は幽閉されてしまいました」
「ならば協力しろ」
ヒルデブラントは短剣をつきつけたまま言う。
「もちろんでございます。ですが、今しばらく時間が必要でございます」
「どういうことだ」
ヒルデブラントはたずねる。
「私はいつも結果しか見えません。あなた様がどうやってあの方をお救いし、この国を救うのか、わかりかねます。そして、そのときは今ではないとわかるだけです」
ここでもまた忍耐を強要されるのか。
ヒルデブラントは歯噛みした。
「俺はすぐにでも彼女を救う」
「おやめください。失敗して二人とも殺されます。それがあなたの望みなのですか?」
ヒルデブラントは言葉に詰まった。
自分に力が足りないことは、百も承知だった。
もはやエルシェは国賊だ。牢から救出して終わりではない。追っ手から逃れるための手段も逃亡先の確保も必要だ。
人づてに話をたどり、ゼンナに行きついた。
彼女は幼少期から予言を口にのぼらせ、女神官への道を選んだと言う話だった。女神官になってからも災害などの予言を行い、民衆を救ってきたという。
ゼンナがエルシェを監視する目的で世話係をしていると知って憤った。
休暇をもらった際、ゼンナに会いに行った。
幽閉の尖塔から帰る彼女のあとをつけた。
人気のない場所で木陰にひきずりこみ、短剣をつきつける。
「声を出すな。おとなしく質問に答えれば危害は加えない」
彼女は抵抗しなかった。それどころか。
「いつかいらっしゃると思っておりました。ヒルデブラント様」
「なぜ俺の名を」
思わず答え、失言を悟った。正体を知られては今後に差し支える。必要ならば彼女の命を奪わなければならない。
握った短剣に力を込めた。震える切っ先がゼンナの肌に触れ、赤い筋を作った。
「あなたがいつかエルシェリーア様を救い、救国の主となられると知っております。短剣をお下げください。私に反抗の意志はありません」
そう言われても、にわかには信じられない。
「私も殿下をお救いしたいのです。私のせいで、あの方は幽閉されてしまいました」
「ならば協力しろ」
ヒルデブラントは短剣をつきつけたまま言う。
「もちろんでございます。ですが、今しばらく時間が必要でございます」
「どういうことだ」
ヒルデブラントはたずねる。
「私はいつも結果しか見えません。あなた様がどうやってあの方をお救いし、この国を救うのか、わかりかねます。そして、そのときは今ではないとわかるだけです」
ここでもまた忍耐を強要されるのか。
ヒルデブラントは歯噛みした。
「俺はすぐにでも彼女を救う」
「おやめください。失敗して二人とも殺されます。それがあなたの望みなのですか?」
ヒルデブラントは言葉に詰まった。
自分に力が足りないことは、百も承知だった。
もはやエルシェは国賊だ。牢から救出して終わりではない。追っ手から逃れるための手段も逃亡先の確保も必要だ。