碧い空の下で
カラオケからの帰り道。瑠奈が話かけてきた。

「美花、これから予定ある?」

美花は首を横にふった。
「じゃ、みんなでファミレスに行って話しない?」

美花は不思議に思いながらも頷いた。


ファミレスに入り席について、みんなでドリンクを頼むと、瑠奈か切り出した。


「あのね、今日紹介した仲間はみんなでバンドを組んでて、でもずっとボーカルがいなくってさ。この前この人達に、良い人いないかって言われて。それで…」

そこまで言った後、美花が続けた。

「浮かんだのが、あたし…?」

瑠奈は頷いた。そして少し申し訳なさそうな顔をした。

「今日のカラオケはね、みんなに美花の歌を聴かせるためのものだったんだ。」


美花はびっくりした顔をした後、溜め息をついた。

「あたしなんて…。歌下手なのに。」

そこにいた全員が驚いた。そして今度は瑠奈が溜め息をついた。

「美花!あんた、自分の歌、下手だと思ってんの?自覚ないの?」

美花は首を傾げた。瑠奈は半分呆れてしまった。
「ねぇ、美花。あなたはどうして自分の歌が下手だと思うの?」

瑠奈の問いに、美歌は目の前にあるジュースのストローを弄びながら答えた。

「小さい頃から歌うのは好きだったけど、歌う度に家族みんなに下手だって言われてきたからよ。」


美歌の家族の耳はおかしいのか?

瑠奈はそう思いながら事実を伝えることにした。

< 6 / 7 >

この作品をシェア

pagetop