追放された薬師は、辺境の地で騎士団長に愛でられる
「ありがとうございます!」

 満面の笑みでソフィアさんに礼を言っていた。

「でも、ソフィアさんを見て、私も気付かされることがありました」

「えっ?」

 驚いたように、彼女は私を見る。
 そう、何よりも大切なことは、ソフィアさんの患者に寄り添う姿勢だ。ソフィアさんは技術は最新のものではないが、その人柄から人々に慕われているのだ。

「私も、ソフィアさんみたいに、みんなから信頼される薬師になりたいです」

「何を言ってるの、アンちゃん」

 からかっているの?なんて言いたそうなソフィアさん。こうやって私さえも認めてくれる人柄は、私は持っていない。私がソフィアさんみたいな人だったら、ジョーももっと好きになってくれたのかな。ジョーのことを思うと、胸がずきんと痛むのだった。


「さあ、アンちゃん。午後の部ももうすぐだわ。
 そろそろお昼にしましょう!」

「はい!」

 お昼と聞くと、急にお腹が空いてきた。怒涛の午前中だった。だが、たくさんのことを考えさせられた午前中だった。午後も、初心に返って頑張らなきゃ。

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