【コミカライズ】あの……殿下。私って、確か女避けのための婚約者でしたよね?
 女避けのためなんて、嘘だよって……本当は好きなのはアイリーンなんだって、言ってくれるかも……なんて……そんなことは、有り得ないと思っていたけど、でも……賭けは見事に予想通りに負けてしまった。

 そんなことはないってわかりつつ、心のどこかには期待があった。

 人間不信気味で、あまり人を寄せ付けない様子のシェーマス様の……女避け要員としてでも、彼の婚約者に選ばれたのは、私だったから。



◇◆◇



「ええ。私もようやく、この息苦しい立場から、解放されるわ」

 王太子シェーマス様の婚約者である私は、特別に城の庭園でお茶会を開くことを許されている。ここには警備の問題で、招待していない人は誰も近寄らない。

 ようやく王太子の婚約者ではなくなるのだと話せば、シェーマス様と私の従姉妹で、母の姉の娘スーリエは手を叩いて喜んでくれた。

 話が話だけに、私が女避けの偽装婚約者であることは、近い身内しか知らない。

「良かったわね! そうしたら、アイリーンは誰とデートするの?」

 目を輝かせて興味津々のスーリエに、私は苦笑した。彼女は隣国の素敵な伯爵令息と婚約したばかり。

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