暗闇に差し込む一筋の光
戸惑い
ーSide 華恋ー


私は、オーバーテーブルに置いてあるスマホの電源を付け、時間を確認した。



もう、お昼か…。



「真琴先生。ひよこクラスのお昼ご飯は大丈夫ですか?」




ひよこクラスとは、1歳から3歳までの子供たちで全員で10人はいる。



私に付き添ってくれていることは有難いけど、真琴先生もひよこクラスの担任を持っていて、施設長としての仕事もあるから忙しいはず。



「大丈夫よ。三浦先生と、小柳先生に任せてきたから。


それに、私のことは気にしなくて大丈夫だから…。


今は何より、華恋のそばにいることが私にとって大事なことだから。」



「真琴先生…。」



「華恋ちゃん、お昼ご飯だよ。」


私を担当してくれている看護師がお昼ご飯を持ってきてくれた。




「あの、私もここで食べてよろしいですか?」




「はい。大丈夫です。」




「ありがとうございます。華恋。ちょっと下の売店で、お昼ご飯買ってくるから、待っててね。」




「はい。」



私は、真琴先生の帰りを待っていると、柏木先生が入ってきた。



「華恋…。」



一瞬、自分でも身体が強ばったことが分かった。



「ごめんな。ここで平気か?」



柏木先生は、私から少し離れた所に座った。




「はい。」



「華恋。これからの診察のことなんだけど、どうしても華恋の身体に触れていかないと診ることが出来ないから、そこはちょっとだけ頑張ってもらえるかな?」




「大丈夫です。でも、お願いします。」




「ん?」




「絶対、私の身体を見ないように診察してほしいんです。」



「分かった…。華恋が俺の診察を受けてくれるならそれでもいいよ。」



「ありがとうございます。」




「華恋。お待たせ。」



柏木先生と話していると、真琴先生はお昼を買って戻ってきた。



「あ、もしかしてあなたが、柏木ですか?」




「はい。今日から、正式に華恋の主治医になりました。宜しくお願いします。」



「こちらこそ、華恋のこと宜しくお願いします。」
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