どんな君でも愛してる

「わかっているわよ、そんなこと。あなたの気持ちを直接お父さんにきちんと言っておきなさい。あなたたち父子は言葉が足りないのよ。いつまでも私に橋渡しをさせないでちょうだいね」

 * * * 

 俺はそのあと社宅にするマンションへ荷物を受け取りに入った。

 ここは、新しい二部の一課にいる相川という四年目の営業に紹介してもらったのだ。

「俺のおじさんがこの沿線で不動産会社を経営しているんです。もし課長がこの沿線でよかったら、条件に合う物件を紹介してもらいますけどどうですか?多分、敷金とか一部安くできると思うんです」

 相川は若手人気ナンバー1だとこの営業部でも言われている。確かにイケメンだ。

 甘いマスクというやつだな。そして、すぐに相手に踏み込んできて甘え上手というか人懐っこいところがある。
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