クールな御曹司と初恋同士の想い想われ契約婚~愛したいのは君だけ~
なにもかもが悠真を喜ばせるため。それは千咲が悠真を愛しているからだ。

「あー。どうしよう。私のせいだ」

悠真は美緒が結婚した後でなければ自分は結婚しないと決めている。

一方の千咲は、本音では今すぐにでも悠真と結婚したいのだろう。

両親から見合いの話が持ち込まれているとなれば、なおさらだ。

「千咲さん……」

悠真を愛し結婚を願う千咲の切なさを思い、美緒は頭を抱えた。

恋人がいないどころか恋愛経験ゼロの自分に結婚の予定などあるわけがない。

中学生の時から今日まで、匠への想いを捨てきれず恋愛には縁がなかった人生だ。

よほどのことがない限り、この先結婚できるとは思えない。

だとすれば、悠真は一生千咲と結婚しないということだろうか。

「どうしよう」

千咲の沈痛な表情を思い出し、美緒はソファに突っ伏した。

するとその時、ローテーブルに置いていたスマホがメッセージの着信を告げた。

もぞもぞと身体を起こしスマホを手に取ると、匠からのメッセージが届いていた。

【もし時間があれば、ふたりで今年最後の食事に行かないか?】

美緒はスマホの画面をまじまじと見つめる。

例年ならクリスマスプレゼントを手渡したのを最後に年を越すのだが、今年は時間ができたのだろうか。 

年末は忙しいはずの匠からの誘いに、美緒は首をかしげた。

とはいえ想いを寄せる匠からの誘いだ、断るという選択肢はない。


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