クールな御曹司と初恋同士の想い想われ契約婚~愛したいのは君だけ~
「はい。今年も兄たちと年越しの予定です。でも、今年はちょっと悩んでいて」
 
明るく答えつつも、次第に声が小さくなる。

「ん? 他になにか予定でもあるのか? ……聞いてないな」

匠は美緒の答えが気に入らないのか微かに眉を寄せ、怪訝そうに呟く。

「いえ、予定はないんです。ただ、兄たちと顔を合わせにくいというか」

「喧嘩でもしたのか?」

「喧嘩は、してませんけど」

美緒は言葉を濁す。
 
千咲に見合いの話があると知って以来、千咲はもちろん悠真とも会いづらく、それどころか年末年始の件で電話がかかってきても、うまく話せずにいる。

千咲が見合いの話を悠真に打ち明けているとは思えない。

だからと言って自分が悠真に伝えるわけにはいかず、なにも知らない振りでふたりと過ごすのは難しい。

悠真が千咲と結婚しない理由が自分にあるとわかっているだけに、気が重いのだ。

悩んだ末に長野でオーベルジュを営む両親に手伝いを兼ねて行ってもいいかと聞いてみたが、年末年始は一年で一番忙しく、足手まといになるから来なくていいと断られた。

結局、気まずいながらも悠真たちとともに過ごすしかないようだ。

「今日は珍しくビールを飲んでるから、なにかあったのか気になっていたんだ」

匠は手にしていた箸を置き、心配そうに美緒の顔を覗き込む。

「お兄さんとは仲が良かったよな。なにかあったのか?」

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