冷酷社長と二度目の恋~極上御曹司は、変わらない愛執で愛する彼女を離さない~
2人の関係は、本当と嘘の中に下隠して…
【心愛】
現在、7月上旬。
7月10日に27歳になったばかりの私―――水野心愛は6年ぶりに東京の地に足を踏み入れた。
荷物ケースを引きながら、駅を出ると太陽の日差しが差し込んで来る。
「…暑っ、相変わらず東京は暑いよ。父さん、母さん」
私はそう空を見上げて、約1年に不幸な事故で他界した両親の顔を想い浮かべながらそう呟いた。
突然、後ろのほうから誰かに肩を叩かれた。
「ひぃっ…!」
体が少し敏感に反応して声を上げてしまったが、『身体』は震えていなかった。
…良かった。
“『身体』が震えない”という事は―――。
私の様子を見ていた―――その男は慌てて口を開いた。
「うぉ、ごめん!姉貴。声はかけたんだけど…」
その男――私よりも2歳下の弟の“水野心也(しんや)”は心配そうに声をかけながら、そっと私の背中を摩(さす)る。
―――『おの事件』から今年で6年。
その『トラウマ』のせいで以前よりも男性に驚いたり、なによりも自分に『好意』を向けられるとそれを人一倍に感じ取れるようになってしまった。
幸い、『仕事上の人』や私が『身内』・『友達』・『自分に好意を向けないと確信ある知り合い』のどれかにの『枠』にその人が当てはまっていれば、平気だ。
逆に今まで平気だったその人でも、自分の『枠』から外れてしまったら『恐怖』を覚え『身体』が震えてなかなか止まらなくなってしまう。
「…ふぅ、もう大丈夫よ。心也」
私は心也にそう言って、少し笑顔を見せる。
「…じゃぁ、行こうか。ケース、俺が持つよ。車はあそこに停めてるからそのままウチの会社に行こう」
「うん」
私たちは荷物を積み込み、車に乗り込んだ。


