双子パパは今日も最愛の手を緩めない~再会したパイロットに全力で甘やかされています~
「まさか、本当に来るなんて」

 思わずひとりごち、額に手をあてる。

 どうしよう……。

 そっと振り返って見ると、彼は私に背中を向け、ベネチアングラスが並ぶ棚の前で立ち止まっている。

 ショーケースの中のグラスに目を留めたようだ。晴美さんが彼のもとへ行き、会話を交わしてショーケースを開ける。

 店内はイタリア語のムーディな音楽が流れているから、会話の内容までは聞こえないが、グラスについての説明を受けているようだ。

 彼が手に取ったのはプレートとステムが金色でボウルに白の柄が入っているグラスで一脚十万円以上する高級品である。

 ステムを持ってクルクル回し、しばし眺めた後、彼は晴美さんにグラスを渡した。

 うそでしょ! そんな高価なものを……。

 晴美さんはレジに向かう途中、私に満面の笑みを向けた。

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